
【初心者向け】アラビア語の「私・あなた・彼・彼女」を完全攻略(性別で変わる代名詞の覚え方)
アラビア語の学習を始めて、戸惑うのが「あなた」という言葉が複数あることではありませんか?
「どうしてこんなにたくさんの言い方があるの?」
ご安心ください。その混乱は、今日で終わります。
これから、アラビア語の言葉がどうして形を変えるのか、その理由から、一つずつ解き明かしていきましょう。
アラビア語の言葉には「役割」がある!
まず、日本語で考えてみましょう。
- 「私は先生です。」
- 「私の本です。」
どちらの「私」も、意味は同じです。でも、「〜は」と「〜の」という言葉をくっつけることで、役割が変わりますよね。
アラビア語では、この「役割」によって、言葉そのものの形が変わってしまうのです。
この「役割」のルールを、これからたった3つの魔法として覚えていきましょう。
- 魔法①:言葉に「性別」がある
- 魔法②:「数」の数え方が細かい
- 魔法③:文の「王様」か「旗」かで形が変わる
【魔法①】言葉に「性別」がある!
アラビア語の最も大きな特徴は、「言葉に性別がある」ことです。名詞だけでなく、動詞や代名詞も、それが男性を指すのか、女性を指すのかによって形が変わります。
例えるなら: まるで、日本語の言葉一つひとつに、「男の子」か「女の子」という属性が付いているようなものです。この「言葉の性別」が、アラビア語の奥深さの第一歩です。
アラビア語のこの性別は、言葉の「役割」を決める大切なルールです。
【魔法②】「二人」という魔法がある!
こちらも、日本語にはない、アラビア語の面白いところです。 アラビア語は、人数をとても丁寧に区別します。
例えるなら: まるで、言葉に「一人、二人、みんな」という数を数える魔法がついているようなものです。
遠くで仲良く話している友達2人を見つけたとします。
日本語: 「彼ら、楽しそうだね!」
アラビア語: هُما سعيدان. (彼ら二人、楽しそうだね!)このように、アラビア語は「二人」のためだけの特別な言葉を使うのです。
【二人だけの魔法の言葉】
- あなたたち二人: أَنْتُمَا (antumā)
- 彼ら二人: هُمَا (humā)
【魔法③】文の「王様」か「旗」かで変わる!
さて、これが最後の魔法です。ここを理解すれば、もう怖いものなし!
アラビア語の言葉には、
- 「文の王様」として、一番前に来て主役になる言葉
- 「単語の旗」として、単語の後ろにくっついて意味を足す言葉
の2種類があります。
魔法①:王様の言葉
- 意味と役割: 「〜は、〜が」という、主役の言葉です。
- いる場所: いつも文の先頭に来る、一番偉い言葉です。
- 例: أَنْتَ لطيفٌ. (あなたは親切です。)
魔法②:旗の言葉
- 意味と役割: 「〜の、〜を」という、持ち物を表す言葉です。
- いる場所: 必ず単語の「うしろ」にくっつきます。
- 例: أين كِتَابُكَ؟ (あなたの本はどこ?)
もう少し踏み込んで解説します。
例えば、
「本」という単語を、立派な「お城」だと想像してください。
- この「お城」に、「私の」という「旗」をくっつけると…
- お城 (
كِتَاب
[kitāb]) + 旗 (ـِي
[-ī]) - = 私の本 (
كِتَابِي
[kitābī])
- お城 (
と表現できるようになります。
ではいったい、「旗の言葉」は、日本語の「の」と何が違う?
「旗の言葉」は、日本語の「〜の」と、ほとんど同じ役割を果たします。しかし、一つだけ、決定的に違うところがあります。
- 似ている点: 「持ち物」を表す役割は同じです。
- 決定的な違い:
- 日本語: 「私」と「本」の間に、「の」という言葉を挟みます。
「私」 → 「の」 → 「本」
それぞれの言葉がバラバラに並んでいます。 - アラビア語: 「本」という言葉のうしろに、まるで魔法のしっぽのようにくっつきます。
「本」 + 「私の」
この「くっつく」というルールこそが、接尾人称代名詞の最も大切なポイントです。接尾人称代名詞は、「持ち物」を表す、単語にくっつく「の」です。
- 日本語: 「私」と「本」の間に、「の」という言葉を挟みます。
日本語: 「私の」 本
アラビア語: 本 + 「私の」 (ِي
)
「旗の言葉」は、「持ち物」を表す、単語にくっつく「の」なんです。
【完全版】人称代名詞の全体像!
3つの魔法を組み合わせると、人称代名詞の全体像が見えてきます。 この「地図」をじっくり見て、頭に入れていきましょう。
旅がもっと楽しくなる!アラビア語講座
旅先で現地の言葉を少し話せるだけで、人との交流がぐっと楽しくなります。今回は、アラビア語の性別を意識しながら、「男の子」と「女の子」を学んでみましょう。
- 男の子: وَلَد (walad) ワラド
- 女の子: بِنْت (bint) ビント
発音のポイント وَلَد (ワラド)
- و (w): 英語の”w”のように、唇を丸めて「ワ」と発音します。
- ل (l): 舌先を上の歯茎の裏につけて、「ラ」と発音します。
- (d): 英語の”d”のように、舌先を上の歯の裏につけて「ド」と発音します。
発音のポイント بِنْت (ビント)
- ب (b): 日本語の「バ」行とほぼ同じ発音です。
- ن (n): 日本語の「ン」とほぼ同じ発音です。
- ت (t): 英語の”t”のように、舌先を上の歯の裏につけて「ト」と発音します。
これらの言葉も、文脈によって性別の区別が重要になります。アラビア語の性別は奥深いですが、まずはこれらの言葉から慣れていきましょう。
まとめ:言葉の魔法を解いて、アラビア語の壁を越えよう!
今回ご紹介した、「アラビア語の『私・あなた』」についての解説は、いかがでしたか?
- アラビア語の代名詞は、「性別」「数」「王様か旗か」という3つの魔法でできている!
- 「王様の言葉」と「旗の言葉」の違いを理解すれば、もう迷わない!
- 「二人」という魔法の言葉があるのは、アラビア語がとても丁寧な言葉だから!
- 表を「地図」のように使えば、複雑なルールも一目瞭然!
これで、アラビア語の学習がぐっと楽しくなるはずです。自信を持って次のステップに進んでいきましょう!