
なぜコーランはアラビア語で書かれた?アラビア語を学ぶ3つの理由
イスラム教の聖典であるコーラン(アラビア語でクルアーン)
「難しそう…」「自分とは関係ないかも…」
そう思って、これまで触れる機会がなかった人もいるかもしれません。しかし、アラビア語を学ぶ人々にとって、クルアーンは最高の教科書であり、最高の目標なのです。
それでは、アラビア語とクルアーンが持つ特別な関係を、初心者の方にも分かりやすく解説します。読み終わる頃には、きっとアラビア語を学ぶ理由が一つ増えるはずです。
大前提:クルアーンは、アラビア語そのものを確立した書物
アラビア語は、クルアーンが書かれる前にも存在していました。しかし、その文法や言葉遣いは、地域や部族によってバラバラでした。
クルアーンは、その統一されていないアラビア語を、ひとつの完璧な言語として確立させた、歴史的な書物です。
まるで、バラバラだったパズルのピースを、一つの美しい絵として完成させたかのように、クルアーンはアラビア語という言語に「型」を与えました。これが、アラビア語が持つ最初の神秘です。
なぜコーランはアラビア語で書かれたの?
これはイスラム教の教義上、非常に重要な問いです。
答えはシンプルです。神が預言者ムハンマドに、アラビア語で啓示(メッセージ)を下したからです。
預言者ムハンマドはアラビア語を話す人物でした。神は、特定のメッセージを特定の人物に伝える際、その人物が最も理解できる言語を用いるのが自然なことだとされています。
また、当時のアラビア語は、詩や弁論が非常に発達し、豊かな表現力を持つ言語でした。神の言葉を伝えるにふさわしい、最も美しい言葉として選ばれた、という側面もあります。
【理由①】完璧な「文法のお手本」だから
クルアーンは、アラビア語の文法や語彙の模範として、何世紀にもわたって使われてきました。
例えるなら、日本語を学ぶ人が、古事記や源氏物語を完璧な文法のお手本として学ぶようなものです。クルアーンは、美しく正確なアラビア語で書かれているため、アラビア語の文法や言葉の使い方のすべてを、これ一冊で学ぶことができます。
このため、アラビア語学習の行き着くところがクルアーンである、と言われるのです。
【理由②】言葉の「音」に意味があるから
クルアーンは、ただ読むだけでなく、朗読されることに大きな意味があります。
日本語に訳されたクルアーンも存在しますが、アラビア語の独特のリズムや響きは、翻訳では完璧に伝えきることができません。イスラム教徒は、クルアーンの音そのものに神聖な意味が宿ると考えています。
これは、詩を翻訳するようなものです。意味は伝わっても、元の言葉が持つ「音の美しさ」や「響き」は失われてしまいますよね。
旅がもっと楽しくなる!アラビア語講座
今日の学習の記念に、クルアーンの学習に欠かせない、「朗読」という言葉をアラビア語で学んでみましょう。
- 朗読(読書):
قِرَاءَة
(qirāʾa)- カタカナ: キラーア
- 発音のポイント:
ق
(q): 喉の奥を震わせるように、強く「ク」と発音します。ء
(ʾ): 声門閉鎖音と呼ばれる音です。日本語の「アッ」と詰めるような発音をします。
まとめ:アラビア語とクルアーンは、切り離せない関係!
今回ご紹介した、アラビア語とクルアーンの関係性については、いかがでしたか?
- クルアーンは、アラビア語そのものを確立した神聖な書物だった!
- 完璧な文法のお手本であり、音に意味があるから、アラビア語で読むことが大切!
- アラビア語を学ぶことは、クルアーンという壮大な世界への入り口でもある!
アラビア語とクルアーンは、単なる言葉と本ではなく、互いに深く影響し合う特別な関係にあります。アラビア語を学ぶことで、きっとあなたの世界は、より豊かになるはずです。