
【中東 楽器】アラブ・ペルシャの音楽を彩る、奥深い楽器の世界
「中東の楽器」と聞いて、あなたはどんな楽器を思い浮かべますか?
もしかしたら、ベリーダンスで使われる軽快なリズムを刻む太鼓や、どこか神秘的な音色を奏でる弦楽器を想像するかもしれません。
この記事では、そんな奥深い中東の楽器の世界を、初心者の方にも分かりやすく、そして楽しくご紹介します。読み終わる頃には、あなたも中東の音楽がもっと身近に感じられるはずです。
大前提:中東楽器は「アラブ」と「ペルシャ」
中東の音楽は、単一の文化ではなく、アラブ文化とペルシャ文化という、二つの大きな柱によって支えられています。
特に歴史的に、ペルシャ(現在のイラン)は音楽や芸術の中心地であり、多くの楽器がアラブ世界に伝わりました。そのため、中東の音楽を語る上で、この二つの文化は切り離すことができません。
ここでは、この二つの文化圏で共通して使われる、代表的な楽器に焦点を当てて解説していきます。
中東の楽器は「3つのグループ」に分けられる!
一口に中東の楽器と言っても、その種類は実に多様です。今回は、主に弦楽器、打楽器、管楽器の3つのグループに分けて見ていきましょう。
それぞれの楽器が、まるでオーケストラのメンバーのように、異なる役割を担い、複雑で美しいハーモニーを奏でています。
【弦楽器の王様】アラブ音楽の心臓「ウード」
![]() |
アラブ音楽を語る上で、絶対に外せないのがこのウード(Oud)です。 |
- 主な地域: アラビア語圏全域、特にエジプト、レバノン、イラク
- 正体: 「ギターのご先祖様」として知られる、アラブを代表する弦楽器です。
- 特徴: 丸みを帯びたボディと、フレット(弦を押さえるための仕切り)がないネックが特徴です。これによって、半音よりもさらに細かな音程を出すことができ、中東音楽特有の美しい旋律を生み出します。その音色は、温かく、どこか物悲しい雰囲気を持ち、聞く人の心を揺さぶります。
- 役割: ウードは、アラブ音楽の主役であり、メロディーの中心を担います。
【リズムの神様】打楽器で踊る!「ダルブッカ」
![]() |
中東の音楽に欠かせないのが、このダルブッカ(Darabukka)が刻む軽快なリズムです。 |
- 主な地域: アラビア語圏全域、特にトルコ、エジプト、レバノンなど
- 正体: 「アラブのドラムセット」とも呼ばれる、片手で抱えて叩く壺型の太鼓です。
- 特徴: 指先や手のひらを使い分けることで、驚くほど多彩な音色を奏でます。高音の「ドン」という音や、低音の「タ」という音を組み合わせ、複雑なリズムパターンを作り出します。
- 役割: ダンス音楽や祭りの場でリズムをリードする、音楽のエンジンのような存在です。
【幻想的な音色】弦楽器と打楽器の融合「カーヌーン」
![]() |
一見するとハープのような形をしたこの楽器、カーヌーン(Qanun)も、中東音楽の重要な担い手です。 |
- 主な地域: トルコ、イラン、アラビア語圏全域
- 正体: 台形の箱に弦が張られた、アラブのハープとでも言うべき楽器です。
- 特徴: 弦の数は70本以上にもなり、弦を指で弾いて音を出します。楽器の横についている小さなレバーを操作することで、音程を微調整できるのが特徴です。その音色は、非常に澄んでいて幻想的で、聞く人を遠い異国の世界へと誘います。
- 役割: ウードと同様にメロディーを奏でますが、より華やかで豊かな音色で音楽を彩ります。
アラブ諸国で普段よく聞く楽器はどうなの?
普段私たちが耳にする楽器は、アラビア語で何と呼ばれているのか表にまとめました。
旅がもっと楽しくなる!アラビア語講座
今日の探検の記念に、アラビア語で「音楽」という言葉を学んでみましょう。
- 音楽:
مُوسِيقَى
(mūsīqā)- カタカナ: ムースィーカ
- 発音のポイント:
مُو
(mū): 唇をしっかりすぼめて「ムー」と発音します。سِيقَى
(sīqā): 「シー」の音は日本語の「シ」よりも強く、息を出すように発音します。- 全体をスムーズにつなげ、「ムースィーカ」と発音しましょう。
まとめ:中東の楽器は、文化を語る物語だった!
今回ご紹介した、中東の楽器はいかがでしたか?
中東の楽器は、単なる音を奏でる道具ではなく、その土地の歴史や文化を物語る存在でしたね。
- ウードは、アラブ音楽の心を歌う「ギターの祖先」。
- ダルブッカは、人々の心を躍らせる「リズムの神様」。
- カーヌーンは、聴く人を幻想の世界へ誘う「アラブのハープ」。
- そして、アラブとペルシャという二つの文化が、中東音楽の奥深い世界を作り上げています。
もし中東の音楽を耳にする機会があれば、ぜひこれらの楽器が奏でる音色に耳を傾けてみてください。きっと、これまでとは違う、新しい発見があるはずです。